「算数は、前の学年の計算ができないと、次の学年の問題が分からなくなるから、しっかり勉強させないといけない。」
一方で、国語については、
「文章は読めているし、普段の会話もできているから、今はそれほど心配しなくても大丈夫。」
そう考えていることはありませんか?
もちろん、算数も国語も、それぞれに大切な学習です。ただ、国語は算数とは違った形で、これまでの経験や身につけてきた力が、その後の学習を支えています。
そして、国語の力は、日常生活の中では身についているように見えても、テストの点数には結びついていないことがあります。
今回は、小学校低学年のうちから意識しておきたい、国語の学習についてお伝えします。
国語は「読める」だけでは、十分ではありません
国語のテストで文章を読むとき、お子さまは一文字ずつ正しく読めていますか?
では、次にこんなことを尋ねてみてください。
「今、何が書いてあった?」
「この人は、どうしてこう思ったのかな?」
「この言葉は、どういう意味だと思う?」
すると、文章は読めていても、内容を説明することが難しい場合があります。
これは、決して「勉強ができない」ということではありません。
文字を正確に読む力と、読んだ文章の意味を理解する力、そして理解したことを自分の言葉で表現する力は、それぞれ異なる力だからです。
読解力は、文字を読む力だけでなく、語彙や文法などの言語理解にも支えられています。つまり、文章を声に出して読めることと、文章の内容を正確に理解し、問題に答えられることは、同じではないのです。
「山のふもと」「山へしばかり」……言葉の経験が読解を支えます
例えば、昔話や物語の中に、次のような言葉が出てきたとします。
- 山のふもと
- 山へしばかりに行く
- 動物のすあな
- たき火
- ひなた
- 夕暮れ
大人にとっては、何となく情景が浮かぶ言葉かもしれません。
しかし、子どもにとってはどうでしょうか。
「ふもとって、山のどこ?」
「しばかりって、何をすること?」
「すあなって、どんなところ?」
実際に見たことがないものや、日常生活であまり使わない言葉は、文章の中で出会っても、意味が十分に分からないことがあります。
すると、文字は読めても、頭の中に場面が浮かばず、物語の内容をつかみにくくなることがあります。
だからこそ、幼児期からの絵本の読み聞かせや、日常の会話、実体験を通した言葉の経験が大切です。
「これはどんな場所かな?」
「実際に見たことがある?」
「この言葉を使って、短い文を作ってみようか。」
そんな何気ないやり取りが、子どもの語彙や文章理解を支えていきます。
研究でも、幼児期の語彙や文法の力が、その後の読解力と関連することが報告されています。言葉の力は、学校に入ってから突然身につくものではなく、幼い頃からの積み重ねによって育っていくのです。
「でも」「しかし」「けれど」……文章のつながりに気づいていますか?
国語の文章には、内容と内容をつなぐ言葉がたくさん出てきます。
例えば、
「今日は雨が降っています。でも、ぼくは外で遊びたいです。」
この文章では、「でも」が、前の内容と後の内容の関係を示しています。
また、
「一生懸命練習しました。しかし、試合には負けてしまいました。」
という文章では、努力したことと、結果が思い通りにならなかったことがつながっています。
このような言葉を「接続語」といいます。
接続語は、文章の流れや、前後の内容の関係を理解するための手がかりになります。ただし、「でも」や「しかし」があれば、必ず単純な反対の内容になるとは限りません。前後の文を読み、どのような関係なのかを考えることが大切です。
低学年のうちは、こうした文章のつながりを、まだ十分に意識していないこともあります。
だからこそ、家庭で文章を読むときには、
「『でも』の前と後では、どんなことが変わったのかな?」
「『だから』と書いてあるけれど、何が理由になっているのかな?」
と尋ねてみてください。
文章をただ読むのではなく、言葉と言葉のつながりに気づきながら読む経験が、少しずつ読解力を育てていきます。
国語のテストで点数が伸びないとき、まずは文章を小さく区切ってみましょう
国語のテストの点数がなかなか上がらないとき、すぐに問題をたくさん解かせることが、最善の方法とは限りません。
まずは、教科書や問題文を一文ずつ、あるいは意味のまとまりごとに区切って読んでみましょう。
そして、お子さまに聞いてみてください。
「今、何が書いてあった?」
「誰が何をしたのかな?」
「この言葉は、どういう意味かな?」
「どうして、この行動をしたのかな?」
「答えは文章のどこに書いてある?」
ここで大切なのは、すぐに正解を教えることではありません。
お子さまが、どこまで理解できているのかを一緒に確かめることです。
例えば、文章を読む途中で、
「うさぎは、森の奥へ走っていきました。」
という一文があったとします。
「うさぎは、どこへ行ったの?」
と聞けば答えられるかもしれません。
では、
「どうして森の奥へ走っていったのかな?」
と尋ねたらどうでしょうか。
その理由が前の文章に書かれている場合、そこまで戻って根拠を探す必要があります。
このように、文章を小さく区切りながら、読み取ったことを言葉にしてもらうことで、理解の様子を確認しやすくなります。
「分かっている」と「テストで答えられる」は、同じではありません
普段の会話では、上手に話せる。
絵本の内容も、何となく分かっている。
でも、国語のテストになると、答えが書けない。
このようなことは、決して珍しいことではありません。
なぜなら、テストでは、文章の内容を理解するだけでなく、問題文の指示を読み、必要な情報を探し、問いに合った形で答えを表現することが求められるからです。
例えば、
「主人公は、なぜ悲しい気持ちになりましたか。文章中の言葉を使って答えましょう。」
という問題があったとします。
この問題では、
- 主人公の気持ちを理解する。
- その理由を文章から探す。
- 問題の指示を確認する。
- 答えとして適切な形にまとめる。
という複数の力が必要になります。
「悲しかったから。」
と答えられても、問題が求めている理由を十分に説明できていなければ、正解にならないことがあります。
だからこそ、家庭で文章を読んだときには、
「どう思った?」
だけで終わらず、
「そう思ったのは、文章のどこから分かったの?」
「答えを文章の言葉を使って説明してみようか。」
と、根拠や表現の仕方にも目を向けてみてください。
ご家庭でできる、低学年の国語のサポート
国語の力を育てるために、毎日長時間の勉強が必要というわけではありません。
大切なのは、短い時間でも、子どもの読み方や言葉の理解に目を向けることです。
① 音読を聞きながら、意味を確かめる
音読が終わったら、文章の内容について一つだけ質問してみましょう。
「誰が出てきたの?」
「何が起こったの?」
「どんな気持ちだったの?」
② 知らない言葉をそのままにしない
「ふもと」「しばかり」「すあな」など、意味が分からない言葉があれば、一緒に調べたり、絵や実物を見たり、知っていることと結びつけたりしてみましょう。
③ 接続語に注目する
「でも」「だから」「そして」「しかし」などの言葉を見つけたら、前後の文章がどのようにつながっているのか考えてみましょう。
④ 答えの根拠を探す
「どうしてそう思ったの?」
「文章のどこに書いてあった?」
と聞くことで、答えを文章に結びつける習慣を育てます。
⑤ 子どもの言葉を受け止め、少しだけ言い換えてあげる
子どもが「悲しかった」と言ったら、
「そうだね。大切なものをなくして、悲しかったんだね。」
と、子どもの表現を広げてあげるのもよい方法です。
国語は、すぐに結果が見えなくても、積み重ねが力になります
国語の学習は、漢字の練習や問題を解くことだけではありません。
日常の会話、絵本の読み聞かせ、音読、知らない言葉との出会い、文章について考える時間。その一つひとつが、子どもの言葉の力を育てていきます。
国語は、算数のように答えが一つに決まる問題だけで構成されているわけではありません。そのため、どこでつまずいているのかが、保護者からは見えにくいこともあります。
しかし、だからこそ、文章を読む様子や、言葉の意味を理解する様子、答えを説明する様子を、少し丁寧に見てあげることが大切です。
「国語は大丈夫」と思っている今だからこそ、ぜひ一度、お子さまと一緒に文章を読んでみてください。
そのときに、正解できたかどうかだけではなく、
「どんなふうに読んでいるのかな?」
「どの言葉で迷っているのかな?」
「何を根拠に答えているのかな?」
という視点を持ってみてください。
国語の力は、日々の小さな言葉の積み重ねから育ちます。
お子さまの「分かった!」を増やすために、まずは一緒に文章を読み、言葉について話す時間を大切にしていきましょう。

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